2019年の参議院選挙は史上最低の投票率で盛り上がりに欠けた。
それもそのはず、テレビ(特に民放)で「投票しよう」「政治に関心を持とう」と言わないからだ。いつものことながら新聞やネットでは「選挙を盛り上げよう」「若いもんは投票に行け」と盛んにやっていたが、テレビが報道しないとやっぱり盛り上がらない。
新聞やネットには読者の中に政治に関心がある人が一定数いるから、選挙のニュースを流しても需要がある。
一方でテレビは不特定多数が見るけど、CMを流す大企業からのスポンサーで成り立っている。彼らにとっては国民に政治に関心を持たれるのは嫌なのだ。
「特定の政党をニュース番組で映すと不公平になるから公共の電波でやってはいけない。」なんてのは嘘っぱち
もちろん特定の政党や候補をほめたたえるような、明らかに偏向報道と思われる番組は公職選挙法でブロックされるべきだ。しかし、だからといって政治にノータッチでなんにも肝心なことを報道しないのも現政権の容認でこれも一種の政治的主張だ。
政権交代が流行語になった2009年はテレビで政治バラエティとか普通にやっていた。
当時やっていた「太田光の私が総理大臣になったら秘書田中」は今、Youtubeで見てもタレントや国会議員や各種専門家といったいろんな属性の人を集めて、ちゃんと議論に成立させていてエライ。もちろんテレビだからある程度脚本があるのだろうけれどそれを感じさせない作りだ。
振り返って令和元年2019年の今、テレビの政治バラエティはちゃんと作られたネット記事に完敗だ。
池上彰は参議院選挙を一分も解説していなかった。内容は「与党は過半数を取りましたが、改憲に必要な3分の2を割りました」ってだけ。もちろん、れいわ旋風やN国党のことはノータッチ。視聴者をなめている。
田原総一朗の朝まで生テレビもひどかった。投票率史上最低ってだけ報道して政治の事は実質ノータッチ、若手の起業家集めて議論させている姿に絶句した。
同じテレビ番組でも「伝える」を目的に作られたニュース番組は選挙が終わった後に時間を割いてN国党やれいわ新選組を報道していた。ただ「解説する番組」はほとんどノータッチか表面的になぞって終わり。これはひどい。
参議院選挙後にタレントで一番政治の事に言及したのはマツコデラックスではないだろうか。N国党の事を「気持ち悪い」ってコメントしてN国党の立花議員から政治的圧力をかけられている。これは完全に参議院議員の職権乱用だ。
テレビの世界はあんまり政治の話ができない。本当の事を話すと政治的圧力をかけられるのか、スポンサーが下りてしまうのか、きちんと解説できる評論家がいないのかははっきりしないがとにかく分かりにくいことだけは確かだ。
若い人の間ではテレビはもうだめだからネットなら世界を変えられる。なんてしゃべってる人もいるけどネットの世界はもっとピンキリだ。良くも悪くもインターネット(特にYoutubeとTwitter)は政治を変えている。新興勢力はみんなSNSを使うのが圧倒的に上手だ。
今までの選挙戦だと
マスコミに取り上げてもらう(空中戦)
地道に一軒一軒お家を回って投票をお願いする(地上戦)
この二つしかなかったけど、ネットの出現でこの二つの中間のような作戦ができるようになった。マスコミのような影響力はまだないけど、情報が届いたところには確実にヒットしている。
インターネット戦略は便利な地上戦だ。ネットの情報は同じようなタイプの人たちの間で拡散する。これは政治的主張も同じだ。インターネットはムラ社会なんて言われる。本当にその通りでれいわ新選組にしてもN国党にしても強烈な主張をしているように見せかけて自分たちのファン層をしっかりと分析している。「ムラ」を意識してるわけだ。一方で昔からある政党は自分たちの支持者のネットの利用状況についてあんまり詳しく知らない気がする。ネットが使えない人が支持層かもしれない。
選挙後の参議院のニュースはれいわ新選組の2議席とN国党の1議席でしばらく大騒ぎしていた。たった3議席に大騒ぎするのもネット戦略が国政選挙に通用することがはっきりしたショックが大きいのだ。N国党はマツコ騒動で化けの皮が剥がれてしまったが、れいわ新選組は選挙前の期待にどう応えるか、そのためにどんな行動をするのか見ものである。
山本太郎を初めて知った時は失礼ながらイロモノに見えたが今(2019年8月)は「なぜ今の政治がうまくいっていないか?」「そのために今何が必要か?」を超分かりやすく喋ってくれる。裏に優秀なブレーンがくっついているような印象を受ける。どんなことでも本質的に分からない人の説明は難解で、本質的に分かっている人間の意見は明確だ。