最近世間を騒がせている空き家問題。
私の地元の大田区ではついに行政代執行で空き家が解体された。
そんなこともあって空家の改装の技術を身につけようとボランティア活動した時がある。ボランティア先の名前は空家レンジャー。活動拠点は天皇陛下の御用邸のあるオシャレな葉山町。シェアハウス海古屋(現在は他の人がオーナー)と社員寮を改装して工房にした葉山ファクトリー、空きビルの逗子コワーキング秘密基地〇〇〇など活動は多岐にわたる。
こう書くと外聞はいいが内情を知ると結構ヤバイ。
私が参加し始めたのは2017年の5月「DIYできるようになりたい。」と海古屋の門を叩いた。当時は高輪ゲートウェイ徒歩七分の場所にある倉庫をテックショップやDMMメイクアキバみたいなイケてる作業場にしようなんていう計画があり、そこで使うための机兼ロッカーのようなメイカーズボックスを作る作業をした。
それからは多い時で毎週のペースで通うようになった。古い家を改装するノウハウを蓄積しようと絵日記制度ができた。
このイラストは葉山ファクトリーの改装を手伝った時だ。もともと時代の経った社員寮を改装していくので床は張替からやらなければならず、カビの生えた畳を運び出すところから始まる。
シェアハウスで枝が伸びすぎた木を切ったり古道具を運ぶ作業もした。
床張りもしました。
人がたくさん来た時のためにマニュアルを作ったり、古い建物なんでドアを運んだり、
改装していくと素人集団では改装できない階段の溶接作業が発生。プロに頼むことになり第一次クラウドファンディングが始まった。
この時のクラウドファンディングで私の情報も載った。
●クリーム(ルーキー):謎の学生。自分でもイベントスペースを作るためにDIYの技術を身に着けようとレンジャー入り。
クリームはクリーム色の作業着で参加していたからいいとして、謎の学生と書かれた時点でカチンときた。普通の人間だったらあれから永遠にさようならだ。
何はともあれ、この時のクラウドファンディングは無事成功123万円集まった。
リーダーの加藤太一さん、モノを集めるのが好きな性格のようで捨てる仕事がだんだんと増えてくる。
NEET株式会社のボロボロの家の話もした。
#DIY #片付け #ゴミ箱 #空き家 #カタログ #モデル
クラウドファンディング成功パーティー用にパラソルを購入する。これから物がどんどん増えていく。設営作業でパラソルを一個手違いで壊してしまった。
モノが増えてくるんで片付けの仕事が中心になってくる。
太一さんが結婚することに、結婚式も葉山ファクトリーでやるので急遽床を作り、フランス製のアンティークの門を買った。
こういう作業をしているとテレビも来た。
NEET株式会社用 対メディア兵器もここで作った。このTシャツを着ているとメディアの人から無視はされないので便利だ。
まあ、いろいろあって12月からシェアハウス海古屋に住むことにした。部屋は工事中で一階なので夜は寒い。
柱をのこぎりで切断して
押し入れも解体して床にする。これでスペースが広がった。
正直に言って夜は寒くて寝られないし一応逗子に住んでいるという事でいい話も来るかと考えて住んでいたが期待できなくなったので、
「このままだったら住むのやめにしたい。」とシェアハウスの当時のオーナーの太一さんにメッセージを送った。
ただ向こうの反応は
「とにかく頑張れ。石の上にも三年」
と根性論を押すだけ、議論がそもそもできない人なのだ。太一さんはソニーの社員だったから石の上にも三年で頑張る人が普通かもしれないが、ニートに近い生き方をしている人がそんな生き方をしたら人生を浪費するだけだ。
終身雇用年功序列という制度も景気が良い時代に社員がやめないように作られたシロモノで「やめないのが当たり前」の時代が良い意味で異常だったのだ。
寒い中で何とか床を張ったり、個室として使うための小屋の基礎を作ったり、いろいろやったが1月で耐えきれなくなって海古屋から撤退した。
絵を描いたのもこれが最後になった。
辛いこともあったが続けていた理由の一つがメディアに出られるから
そんな中でラジオ事件が起こる。
事の起こりは
空家レンジャーの一人コーヒーさんが
「2月20日(火)14:40〜 湘南ビーチFM生出演する?」と言ってきたことだ。
メッセージのやりとりは下に載せたがいくらなんでも前日にドタキャンはひどすぎる。こっちは出演のために予定まで開けているんだ。
Kazuhiro Takahashi
Kazuhiro Takahashi
こういったこともあり空家レンジャーにはだんだん行かなくなった。メッセンジャーの最後の方に出てきた葉山キッチンだが、この時期に葉山ファクトリーで食べ物関係の事もやろうという事になった。葉山ファクトリーは元社員寮なので一階部分はキッチンがある。そしてしっかりした建物なので改装すれば保健所から製菓の許可も下りる。
食のチャレンジもやっていこうという事で始まった計画だった。その年の五月にまたクラウドファンディングをしてこちらも成功。150万も集まった。
7月に加藤家に第一子が誕生し
10月にまたまたクラウドファンディングを始めた。
今度はバー兼コワーキングスペースのプロジェクトだった。さすがに二年間で三本しかも一本一本が百万円級のクラウドファンディングを立て続けに出し続けるのは息切れするもので目標達成はできなかった。
そしてクラウドファンディングで資金を集めていくシステムに崩壊が始まった。海古屋はさすがに空家レンジャーの別のメンバーが運営している。その「新生海古屋」でひらかれた忘年会で知ったのだが
なんと最近の空家レンジャーでは常連レンジャーにコワーキングスペース定期会員を無理無理勧めているらしい。
実際に
「勧誘しつこいんだけどどうしよう?」
「断るためにチャットで論争するなら公開グループでやったほうがいいよ」
なんて会話を聞いて唖然とした。
私が通っていた時でも、なんとなく「空家レンジャーにしか顔を出さない行動半径の狭そうな人」を大事にしている空気があるなあ~逆にいろんな所に顔出していそうな人はすぐいなくなるなあ~と、私以外の若い人がすぐやめていって、おじさんおばさんが長く残っているところからうすうす気づいていたがまさかこんな大惨事になっているとは思いもしなかった。空家レンジャーの公式Facebookにもまんが図書館は登場してこないし「ものづくり」ではないにしても葉山ファクトリーに人を呼ぶのに貢献しているのだからもっと空家レンジャーの目玉みたいに宣伝しないのはおかしい。
クラウドファンディングを成功させたり結婚式したりテレビの取材が入ったりすれば一時的にはパッと盛り上がる。でも一瞬だけだ。
会社にしてもNPOにしても、なにか活動を続けていくというのは本当に難しい。ヒト、モノ、カネのうちで一番活動を続ける足かせになるのは実は人だ。他の二つは集めた後でとっておけるが、人は集めても離れていく。空家レンジャー以外の活動に行かない人を大事にしていると一時的には安泰だ。でも本家の活動と少しずれた人がいることで、できることの幅が広がることもあるのではないだろうか。
ものづくりは単体では存在できないし従来型のものづくりが限界を迎えていることは工業畑の人なら良く知っているはずだ。
私はほとんど空家レンジャーの活動はやっていないが空家レンジャーの隊長にはこれだけは言いたい。
「もっと隊員を手足としてだけでなく頭としてうまく使ってほしい」と