かずひろの野望 

高橋かずひろの公式ブログです。

マスコミが創りあげる引きこもり界隈の虚像について

 

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 この記事を書いている2019年6月、引きこもりの人が通り魔事件を起こして社会問題になった。初めに言っておくがこの事件の犯人を弁護・肯定するつもりはないし犠牲者はかわいそうだと思う。

 

 ただ、この事件を見た人々のリアクションがちょっと常識を逸していると感じる部分があったので記事を書くことにした。さすがに第三者に被害を及ぼさないのが動機とはいえ中年引きこもりの子どもを刺殺した元農水次官はやり過ぎだ。

 

 が、問題なのは二つの事件のメディアの反応の違いで元農水次官が子どもを殺した事件では各メディアが「子どもの方が凶暴な性格だった」「子どもを先にやらないと命が危なかった」などの「犯人の弁護」が目立つことだ。殺された方の引きこもりを悪役に仕立て上げる人物描写は一生懸命やっているのに、事件の解明に大切であるはずの殺したほうの人間に関する調査はほとんど手抜き状態、せいぜい昔の同僚の「まじめで仕事熱心な人でした」程度。引退するまで公務員の仕事やってきたんだから真面目なのも当たり前だよ!

 「これから殺人しそうだから殺す。」っていう時点で規模は違えどオウム真理教のポアと発想同じじゃないか!命が危ないなら警察を呼んで、自分は親戚か友達の家に泊めてもらえばいいし、お金はあるんだから部屋借りるなりホテル泊まるなり殺す以外の手段は無数にあったはずだ。こんな人が農水省という重要な省庁のトップ層に長年いたのかと思うと恐ろしくなる。

 

 それに通り魔事件のほうは「引きこもりが通り魔事件を起こす」みたいなイメージが最近できているけど客観的に見て間違いだ。秋葉原通り魔事件の犯人は派遣社員だったし、その模倣犯マツダ本社工場連続殺傷事件の犯人も派遣社員、同じく模倣犯宇都宮市連続爆発事件に至っては犯人はなんと元自衛官だったのだ。決して引きこもりだけが通り魔事件を起こすのではなく、社会全体に対して憎悪を抱けば誰でも起こしうると考える方が正確だ。

 

 引きこもりは自衛官にしてしまえば社会復帰させられるなんて意見を言う右寄りの言論人もいるけど、永遠に自衛官にすることは予算的にも制度的にも不可能だし、私が以前所属していたニート株式会社にも元自衛官ニートは普通にいた。自衛隊は引きこもりを社会復帰させる魔法の特効薬ではないのだ。むしろ社会に恨みを持った状態の人間を自衛隊に入隊させてしまい、訓練を受けた状態で通り魔事件を起こされたら非常に危険極まりない。

 

 防犯カメラをAIで進化させて事件起こす奴を未然に防ごうというのも、AIについてあんまりよくわかっていない人の意見だ。AIに犯人を特定できるだけの情報量を与えるには犯人の情報を数万人単位で覚えさせないといけない。この時点で町はリアル北斗の拳のような状態で一般人でも安全のために防弾チョッキを着て外出するようになるだろう。防犯カメラを使ってどうのこうのという次元ではない。

 

 

 引きこもりが通り魔事件を起こすと「引きこもりを何とかしよう!」という声が沸き上がるのに、派遣社員が事件を起こしても「派遣社員を何とかしよう!」とならないのが不思議だ。私は事件が起こっていてもいなくても引きこもりも派遣社員も何とかしなければいけない問題だと考える。事件が起こる前に何とかなればベストだが、一回悲しい事件が起こった後で対策を立てるのも事件後の対応としては良いことだと思う。

 引きこもりが通り魔事件を起こすと「引きこもりは良くない。なんとかしよう」と評論家はまくしたてるが、同じ事件を派遣社員が起こしても「派遣社員は良くない。なんとかしよう」とまくしたてる評論家はいないし、もしいてもマスコミから干されるだろう。

 

 なにが言いたいかというと、何が何でも引きこもりを消そうという考えが根底にあって、こうした悲しい事件はたまたま利用されているに過ぎないということだ。困ったことに「引きこもりを消そう。」と大騒ぎする評論家の皆様は、まず現実をあんまりよく知らない。ニートと引きこもりを一緒くたにするのは日常茶飯事。

 ニートでも元気に外に出て人間関係を作って適当に単発の仕事を貰って生きてる人もいるし、会社員でもブラックなところに勤めていて、やめたら即引きこもりになってしまうから死ぬ気で働いていた人もいる(これは私の知り合いです)

 

 評論家の考える引きこもり脱出作戦は「無理やり家から引っ張り出す」「仕事できるように生活リズムを整える」といった標準人間に戻すスパルタ教育で、これでは当事者のマイナス面しか見ていないから、人格を全否定されたように受け止められて当事者から恨まれる結果になるのは目に見えている。それよりも「朝起きれないなら夜の仕事を探す」とか「家にいながら仕事できる方法を考える」とか、当事者が絶対にできないことを避けながら適当に辛くならないように生きていく方法を考えるのが大事だ。

 

 そしてさらにひどいのはマスコミが引きこもりのイメージ像を作り上げてしまった事だ。このイメージができて誰が幸せになるの?と私は言いたい。

 これができたことでせっかく引きこもりの人が得意分野で外に出ていくきっかけを作ってもいわゆる引きこもりのイメージで見られて人間関係がぎくしゃくして結局引きこもりに戻るようになってしまった。

 

 この記事を書いている私も以前NEET株式会社に参加していてメディアの前でしゃべったことがある。NEET株式会社と再就職支援の会社の討論なのだが、完全にニートのネガティブイメージづくりの一環として番組自体が構成されている。若新雄純よ!仕事と引き換えに仲間を売るな!

 

https://logmi.jp/business/articles/307343

 

https://logmi.jp/business/articles/307621

 

https://logmi.jp/business/articles/308242

 

 ついでにNEET株式会社のことをもうちょっと書いておくと先ほど書いたlogmiはまだかわいい方で取材陣はNEET株式会社のニートが会議をしているところにちょこちょこと寄ってきて一番醜いところをつなぎ合わせて番組を作る。NHKも含めて

 

 また、引きこもりが通り魔事件を起こすと若新雄純に取材がきて、「社会的存在意義がないからこういった事件を起こす。死刑より厳しい刑罰はこれ以上作れないし何とかしなければいけない。」といった事をしゃべる。約一年前に起こった新幹線で鉈振り回した殺傷事件の時も同じことをしゃべっていた。

 

 「事件を起こした犯人もこんなになる前にNEET株式会社の事を知っていれば何とかなったんじゃないだろうか?」なんてマスコミの前でもNEET株式会社の会議でもしゃべっていたけど、本当に通り魔事件一歩手前の人がNEET株式会社の会議に参加していたら若新雄純の命が一番危ない。若新雄純は成功者だし、ニート評論家みたいなポジションで名を売っている。引きこもりの人に恨まれる要素が固まって若新が出来上がっていると考えたほうがいいだろう。会議で一緒になるなんてライオンの檻に肉と一緒に中に入るようなもんだ。

 

 NEET株式会社の一般ピープルの意見をここで書く。「NEET株式会社は社会不適合者一時預かり所じゃないんだよ。福祉じゃないんだ。株式会社なんだ。株式会社ならメンバーを公平に扱ってほしいし、福祉だったらNPOでやってくれ。」

 

 

 話を引きこもり関係に戻すと、政府やマスコミが発信してそれを無批判に受け入れる一般国民を含めた社会全体で「引きこもり危険神話」を作った責任は重い。事件を起こすたびに「引きこもりは危ない」と大騒ぎする。同じ事件を引きこもりでない人が起こしても「派遣社員は危ない」とはならないし、「エリートは危険」ともならない。むしろ「引きこもり危険神話」が作った偏見で実際に引きこもりの人が追い詰められ神話ではなく現実に危険になってしまったと考える方が自然ではないのだろうか。