若者と政治を結び付ける活動をしている団体がひどすぎる。
1、解説のスキルが異様に低い
こうした団体はブログやSNSで政治解説記事を書いている場合が多いのですが、解説のスキルがひどすぎて悲しくなります。
まず、問題の本質を語ろうとしません。分かりやすい解説をしてくれないのです。「政治的中立を守らないといけない」とか「ここは意見を主張する場ではない」とかもっともらしい言い訳をつけて分かりやすい説明をしないのです。
そしてホントに申し訳ないのですが思考の基礎体力がないので、複数の情報源から情報を仕入れて本質的に重要な部分をまとめる作業ができないケースが多いです。結果的にメディアの意見を書き写したような記事ができてしまいます。
ある政治解説メディアでは2019年に消費税が増税されるときに「増税した分のお金は福祉と教育に使います。」と政府のイヌみたいな解説をしていました。
2、若者は政治に無関心というデマを広めようとする。
「若者は政治に無関心だ。何とかしないといけない」という謎の思い込みを持っています。確かに若者の投票率は低いのは事実です。
でもその原因はただ単に政治に無関心なだけでしょうか?
若者と老人では空いているスケジュールに差があります。
老人は投票日にどうしても外せない予定ができても期日前投票できますが、学校とか労働でスケジュールがパンパンの若者にとっては投票日がふさがると選挙に行けなくなる確率が多くなります。
また、若者には引っ越しする人も多くて、実際に住んでいる住所と戸籍上の住所が違っていて投票できない人も無視できないぐらいいます。
あとこれは全世代に共通して言えることですが、政治に関心はあるけど選挙に行っても何も変わらないから投票しない人もいます。
このように「政治に関心があるかどうか?」と「投票に行くかどうか?」は別々に考えるべきです。
この際だからはっきり書きますが「若者は政治に無関心」というのはウソです。ホントに無関心だったら、SNSで政治の批判とか流れてきませんし、小泉進次郎構文botは作られませんし、お笑いサイトの「ボケて」にも政治家の写真は使われません。なんだりかんだり政治にはみんな関心を持っているのです。そりゃそうですよね、政治に無関心な人はいても無関係な人はいませんから。
政治解説団体の人たちは、「私たちが政治の事を分からない若者に政治の事を解説しよう。そうすれば投票率が上がって日本はハッピーになる。」という正義を持って活動しています。その時に「若者は政治の事に無関心に違いない」という思い込みを持っているので、発表する政治的解説のレベルは低いです。解説のレベルが低すぎて逆に慇懃無礼です。
なんで政治に関心を持ってもらうために自転車置き場や公園のトイレをどこに配置するか?のワークショップが必要なんですか?
われわれ若者をバカにしないでください。そして「若者は政治に無関心」というデマを広めるのはデメリットしかないです。
政治系の学生団体に人数が集まらないのは「せっかく興味を持って参加しようとしてくれた人を異様に低く見るから」が大きな要因のような気がします。有能な人は来なくなるし、せっかく中でレベルアップした人がいてもやってることが同じだと飽きてやめて他の活動します。学生は暇なように見えてそんなに暇ではないのです。
3、政治的中立にこだわり過ぎて何が言いたいのかが分からない。
「政治的中立を守らないといけない」という思い込みが異様に強いです。もちろん、何か文章を書く時にある程度は多様な意見を調べる必要はある。それでも完璧に政治的中立を守ることはできないし、もしやったら現状への白紙委任になってしまう。
政治的中立が悪いわけではない。
「自分たちの団体を動かしていく中で政治的中立をどこまで守るか?政治的中立よりも大事な価値観はあるのか」という問題を考えられない思考力の問題なのだ。
4、「ヤバイことをやっている」という意識がない
ここまで書いてきたように政治解説団体はいろいろとやばいです。
メディアの意見を鵜呑みにした記事を書いたり、政治的中立にこだわって大事な問題を語らなかったり、せっかく自分たちの団体に興味を持ってくれた人に異様にレベルの低い政治の話をしたり、「政治の話をすると「意識高い」とバカにされる。」という思い込みを繰り返し発信し続けたりします。
他人の事を「意識高い」とバカにする人間は嫉妬をエネルギーに動いているので政治の話をしなくても「意識高い」とバカにしてきます。そんな人にかまうだけ損です。
一番の問題点は「自分たちがやっている事は何かおかしいのではないか?」と自分たちのやっている事に疑問を持つ視点がないのです。
学生時代に政治家のインターンを斡旋している政治団体に「入れてください。」と話を聞きに行ったときに、「過激な思想を持っていないですか?」と詰問されました。もちろん話だけ聞いて参加はしませんでした。
「過激な思想を排除する」と考える発想の方が「過激な思想」だと私は思いますが。
ホントにやばい人だったらおとなしい人間を装って参加して内部からぶっ壊すと思います。(私はそこまでやばい人ではないです。)
「自分に疑問を持たない」のであんまり進化しません。本も大手メディア(特に朝日新聞)が喜びそうな本しか読みません。環境問題でも地球温暖化懐疑論の本は読みませんし、消費税の事を調べる時も「消費税自体いらない、所得税と法人税きちんととれ派」の本は読みません。
当然、思想は偏ります。
私は思想が偏ること自体は悪い事ではないと思っています。でも「俺って思想が偏っていてやばい奴だよなあ」という認識をみんなが持てばこの社会はちょっとはマシになる、と考えています。
5、普通の人の事を語らない
これは「社会問題に興味があります」と語りだす学生の多くにも言えることなのですが、なぜか社会の少数派の人の社会問題を一生懸命解説している割に普通の人の話をあまりしていないなと思っています。
もちろん私も社会の少数派の人の権利は尊重したいです。でも物事には順序があって「普通の人に分かりやすく社会問題を語る会」みたいなざっくりした場で少数派の権利の問題ばかり主張されると、
「おいおい!少数派の意見ばかり大事にして普通の人は置いてきぼりかよ!」
と思われて普通の人は黙って離れていきます。
これは2016年のアメリカ大統領選で民主党の地盤だったが共和党に寝返った州を重点的に取材したノンフィクション本「トランプ王国 2」に書いてあった事例を紹介したい。これはトランプに寝返った州の民主党の支部長(現場の監督みたいなポジションの人)の意見だが、
共和党(トランプ)の演説は「外国に奪われた仕事を取り返します!」と非常に分かりやすく雇用や経済の問題を主張していたのに対して、民主党(クリントン)の演説は「LGBTの人がどちらのトイレを使うべきか?」といった普通の人とはあまり関係ない事ばかり喋っていた。トランプが用意したメニューはステーキ(みんなが好きな話題)でクリントンが用意したメニューはブロッコリー(大事かもしれないけどメインではない話題)だった。
結果は改めて述べる必要もないが、これだけ書けば寝返った理由はだいたいわかると思う。
国は違うが「社会問題なんとかしたい」と言っている日本の若者団体も同じような主張をしているケースが多いのではないだろうか。
6、おっさんたちが思考のうすい政治解説団体を応援している
ここまで若者向け政治解説団体の問題点を書いていったが、いい年をした人(現職の政治家を含む)が「若者と政治の接点を作ってえらい」なんて言いながら、こうした団体を無批判に支持している。その結果、若者たちが「俺たちは正しいことをやっている」と信じ込む最悪の事態が起こっている。せめて「政治に関心持たせようとしてて偉いけど、もうちと勉強してほしいなあ」ぐらい言うのが若者のためでもある。
応援しているおっさんたちも政治解説団体と同じように「若者は政治に無関心」という思い込みがある。根っこのところで若い人をバカにしている感がある人が多い。
本当に人間対人間で付き合っているとしたら「あなたはそう考えているんですね。私はこう考えているんです。」とお互いを尊重して意見をぶつけ合うと思う。でも現実にそういった議論をしているおっさんと若者はこれまで見たことがありません。
お互いを傷つけないように気を使い過ぎるのか、実際は異様にレベルの低い政治の話をして終わりです。若者は「異様にレベルの低い状態」に不自然さを感じ取って欲しいし、おっさんの心の中にある「若い人と何か喋る時にはレベルを下げないといけない」という謎ルールは何のためにあるのでしょうか?
おっさんたちの中身のない誉め言葉に満足して「社会に認められたんだ」と錦の御旗を振りかざしてさらに自信満々で活動していきます。
もちろん、政治の事をがっちり分かっている若い人もいます。しかし、若者向け政治解説団体で、ある程度有名になっている団体はおかしい所がいくつもあって、それを社会人が支持して宣伝に協力しているという事態に気づいていただけたら幸いです。